知ってて当然!?リスティング広告「品質スコア」のすべて

リスティング広告の世界で、たびたび論議されている熱いテーマといえば「品質スコア」。複雑な仕組みゆえに、多くの誤解が生まれやすいというのもその一因だろう。そこで今回は、Google AdWords広告の品質スコアを例に、基本となる知識や効果的な対処方法のコツについて、わかりやすく解説していく。品質スコアを改善するヒントとして、ぜひ活用してほしい。

まずは押さえておきたい、AdWords広告における「品質スコア」の歴史と仕組み 

皆さんもご存知のとおり、現在、Google AdWordsなどに代表されるリスティング広告システムは、「CPC(クリック単価)制」だと認識されている。だが、「広告がどのように価格付けされてきたのか」について、その仕組みを知る人は少ないのではないだろうか? しかし、元Google 社員で、AdWords部門のエヴァンジェリストであったFrederick Vallaeysによると、

  • 品質スコアがクリック単価にどう作用し、広告の価格が決められてきたのか? 
  • Google は、どのようにして収益を得ているのか?

という2つを知ることで、「品質スコアがクリック単価へ与える影響」が、より明確に理解できるという。

そこで、彼の書いた記事をもとにその詳細を探ってみよう。

1.CPCとCPM、2つの入札タイプをめぐるGoogle AdWordsの遍歴

今でこそリスティング広告の代表格であるGoogle AdWordsの入札タイプは、「CPC(クリック単価)」ベースというイメージが定着しているが、以前は「CPM(インプレッション単価)」ベースが採用されていたという。

ここで、この2つの入札タイプのおさらいをしておくと……

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 となる。

「CPCとCPM、はたしてどちらがいいのか?」と問われれば、また別の問題になるが、Google AdWordsの歴史に焦点をあてる限りでは、CPMベースを採用したAdWords CPMに、CPCベースであるAdWords Selectを導入したところ、CPCベースの広告のほうがCPMベースの広告よりCTR(クリックスルー率)の値が高くなったのだ。そこでGoogle は、すぐさまAdWords Selectにビジネスを移行、AdWords CPMを終了し、現在のAdWordsブランドの構築に至った。しかし、ここで注目したいのは、CPCが非常に成功した理由となった、広告をランク付けするためのシンプルな計算式だ。

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出典元:What You Need to Know About AdWords Quality Score From a Former Googler

かつて採用していたCPMベースだと、最も高いコストを支払う広告主であれば、誰でもオーガニック検索結果の上部に広告を表示できていた。しかし、ここにCPCベースを導入するだけでなく、CTR(クリックスルー率)を掛け合わせることで、ユーザーにとっては最も重要な要素のひとつである「関連性の高い広告」が上位表示される仕組みを作ったのである。つまり、CPMの特徴である「関連性の低い広告でも、高い入札によって上位表示されること」を防いだのだ。これにより、2つの広告主が同じ単価の入札をする場合でも、CTR(クリックスルー率)の高いほうがより上位に位置され、支払うクリック単価もより安くなる。「予算の少ない中小企業であっても、予算の多い大企業と競い合えるようになった」ということが、このAdWords遍歴の大きなポイントなのである。

そして今や、その仕組みはこう変化した。

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出典元:What You Need to Know About AdWords Quality Score From a Former Googler

3つの要素が組み合わさることで、より不明瞭な部分が増えたことは否めない。そして今では、

  • 品質スコアが2倍になれば広告ランクも2倍となるとはいえなくなった。
  • 広告ランク付けにおいては、CTR(クリックスルー率)は必要要素としてみなされなくなった。

ということになるのだ。これにより、ますます頭の中が「???」でいっぱいになる人も多いだろうが、それを紐解く前に、次の項目をチェックしてみよう。

2.Google は、どのようにして収益を得ているのか?  

前述のように、現在のGoogle AdWords広告は「CPC(クリック単価)」ベースが中心なので、ユーザーが広告をクリックした分だけ広告主がクリック単価を支払い、それによりGoogle は収益を得る。そのせいか、Google の収益という視点で考える場合、私たちはもちろん、経済アナリストさえCPCの増減に注目してしまいがちだ。だが、Frederick Vallaeysの記事によると、Google が気にかけ、広告ランク付けにも活用しているのは、CPCではなくCPMのほうだという。

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出典元:What You Need to Know About AdWords Quality Score From a Former Googler

つまり、ここで理解すべきは、CPMを最も多く支払う広告主が最上位に掲載されるというシステムに対し、Googleが「収益を得る方法として、無視できない優先要素だ」と今でも捉えている事実である。複雑な計算式が用いられているせいで誤解も生まれやすいが、むしろ私たちが注目すべき点は、その重要視されているCPMがCTRとCPCから算出できるということだろう。

AdWords広告から考える「品質スコア」の基礎知識&運用のコツ

では次に、こういった歴史と視点を踏まえつつ、AdWords広告における品質スコアの基本知識と運用のコツについて考えてみよう。

1.品質スコアの決定に一番影響するのは? 

考えうるさまざまな要素がこの問題を複雑化しているが、現在のSEM業界においては、「AdWordsの品質スコアを決定する要素のうち、50~75%はCTR(クリックスルー率)が占めている」という見解で一致している。このことは前項の「CPMの高い広告主ほど優先順位が高い(※CPMはCTR(クリックスルー率)から算出できるので、CPMが高いということはCTR(クリックスルー率)も高いということ)という点にも、「CPCベースの広告は、クリックされてこそ(※CTR(クリックスルー率)が高くてこそ)Google の収益になる」という点にも合致するのだから、CTR(クリックスルー率)の高さが品質スコアに影響するというのは当然である。

2.品質スコアを上げる「マッチタイプ」がある?

結論からいうとAdWordsの品質スコアには、キーワードのマッチタイプは影響しない。たしかに「完全一致」を選択している場合、「フレーズ一致」や「部分一致」よりもクリック率が高くなる傾向にあるが、こと「品質スコア」への影響という点でいえば、マッチタイプによる差はないといっていいだろう。なぜなら、キーワードの品質にクリック率が影響するとすれば、そのキーワードと検索クエリーが完全に一致する場合に限られるからだ。言い換えれば、マッチタイプが「フレーズ一致」や「部分一致」のキーワードであっても、クリック率が品質スコアに反映されるのは「完全一致」と同様に検索クエリーがマッチングされる場合に限られるということである。

3.「広告掲載順位」が高くなるほど、品質スコアも上がる?

品質スコアの重要要素であるクリック率は、掲載順位が上位になるにつれ高くなる傾向にある。だが、掲載順位が上位であるほど品質が上がるというわけではない。現在の掲載順位が下がれば、クリック率が低くなることにつながるが、それによって即、キーワードの品質スコアや関連するアカウントレベルが悪い影響を受けることはないのである。企業に見合った掲載順位を狙っていこう。

4.「ランディングページ」の要素によって、品質スコアが上がる?

ランディングページの要素については、品質スコアの判断材料のひとつとして考えられている。Google はSEOでいうパンダアップデートと同じように、品質の低いランディングページを見極めるため、ランディングページの品質要素について公表しているからだ。ただし、一部の専門家の間で騒がれているほど、品質の高さによる大幅な加点は望めないという点は理解しておきたい。ランディングページの品質の高さは、驚くほどの評価対象にはならないらしい。

5.「ブランドターム」への入札で、品質スコアは上がる?

品質スコアを重視するならば、企業名やブランド名、それに関連するキーワードへの入札は積極的に行うべきだ。広告費を削減するために、ブランドタームへの入札を避けるという方法は効率的ではないのでやめよう。

6.「広告グループ」の関連性を高めると、品質スコアは上がる?

広告グループ、広告文、キーワードに一貫性を持たせることで、品質スコアは確実に上がっていく。できれば、この3つすべてに共通のキーワードが入っているのがベストである。厳密なルールはないが、どの広告グループにも30個以上のキーワードが設定されているなら、より細かいグルーピングを行い、それぞれに具体的で訴求効果の高い広告文を設定することだ。そして常に、広告文に対するABテストを実施し、クリック率を高めていくことが大切である。

7.「運用のコツ」は、品質スコアに執着し過ぎないこと

品質スコアについては注目されるテーマとなる一方で、その動向も読みづらく、さまざまな混乱を招いているのが現状である。例えば、全くインプレッションを獲得しなかったキーワードに対し、あるときには品質スコアが最高レベルの10から3に落ち、再び10に戻るという現象が起こったこともあるそうだ。もちろん品質スコアを高めていく努力は必要だ。だが、不安定な要素にはこだわり過ぎず、CTR(クリックスルー率)を高め、最終的にはコンバージョンと収益アップを見据えてリスティング広告の運用していくことが、品質スコアとうまく付き合うためのコツになるだろう。

AdWords広告で「品質スコア」を改善するための秘訣4

品質スコアを改善するためには、まず品質スコアの概要をAdWordsヘルプなどでしっかりと把握することが先決である。だが、ここでは実際に運用したからこそ気づけた「仕組み」や「秘訣」を、面白い角度からまとめた英文記事(7 Secrets For Dealing With Quality Score)があるので、いくつかピックアップしてご紹介しよう。

1.not set」と「not provided」の違いを知ろう

Google アナリティクスのなかでユーザーが検索に使用するキーワードを確認していると、「not set」と「not provided」という用語を見かけるが、この2つの違いを説明できるだろうか? not setはnot providedと関連付けられることが多いが、その意味は大きく異なる。

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出典元:7 Secrets For Dealing With Quality Score                          

  • not set=Googleがキーワードを判別できなかったという意味。発生する主な原因としては、自動タグであったり、ページでコードが重複していたり、AdWordsに接続された分析プロフィールが重複しているということが考えられる。
  • not provided=Googleがプライバシー保護などの観点から、キーワードを表示できないという意味。ユーザーがhttps://www.google.comで検索を実施し、オーガニック検索結果をクリックすると返される。近年ではnot providedの割合が増加していることが問題視されている。

キーワードデータを確認する際には、この違いに注意しておきたい。

2.「品質スコア10」には要注意!

品質スコアでは、キーワードごとに1~10段階の評価が設定される。もちろん最高レベルの10を目指すべきなのだが、10が付いているからといって大喜びするのは早計である。前述したが、この辺りの仕組みはまだまだ不安定で、インプレッションやクリックを1度も獲得していないキーワードでさえ品質スコア10を獲得しているケースがしばしば発生するのだ。にもかかわらず、そのキーワードがクリックを獲得した途端、スコアが下がったりする。スコア10を見かけたときには、その詳細をよく確認することが必要である。

3.「ローンチ前」でも品質スコアは改善できる!?

ローンチ前、つまりキーワードと広告グループが立ち上げられる前であっても、高い品質スコアを獲得し、ローンチ後もそのスコアを維持することができた例は何度も見られたという。ここからわかるのは、ローンチする前であっても、キャンペーンの構造や入札、キーワードなどの要素を微調節することができるということだ。ただ、ケースバイケースであることを十分考慮して臨もう。

4.「自動入札ツール」は、キャンペーンのスタート時点では使わない

入札管理を行ってくれる自動入札ツールは、ローンチしたばかりのキャンペーンでは機能しづらいようだ。自動入札ツールのプログラムは、学習能力は高いのだが、学習を始めるにあたって「よい基盤」が必要なのである。この基盤がない状態では、誤った情報を学習してしまうという。つまり、高いキャンペーンのリターンを得たければ、数日または数週間かけてキャンペーンを実施した後で、自動入札ツールを導入すべきなのである。

さいごに

いかがだろうか? 今回の「品質スコア」ひとつをとってもわかるように、さまざまな知識や情報が玉石混淆(ぎょくせきこんこう)しているのがリスティング広告の世界である。マーケターにとって、リスティング広告で成功するためには、鮮度の高い情報から正しいものを見極め、なおかつ、それを正しく理解するという「情報リテラシー」の意識が、ますます重要になってくるだろう。その有益な情報源として、この記事がお役に立てば幸いである。

参考:

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