Whole Foods Marketに学ぶ、O2Oの実践手法

消費者から圧倒的な支持を得ているアメリカの自然派スーパーマーケットWhole Foods Marketは、店舗数約400、2014年度の売上見込142億ドル(約1兆7,000億円)と現在も順調に成長を続けている。健康に配慮したオーガニック食品を扱う商品の魅力に加えて、地産地消を取り入れながら近隣に住む顧客と丁寧に向き合う地域密着型の経営スタイルも人気の秘密である。

また、「ニーズに応じた商品と真摯な対応で、お客様に満足していただきたい」という理念を実現できているもう1つの理由として、ウェブサイトやソーシャルネットワークなど、積極的なWebマーケティングの活用も挙げられる。ウェブサイトには、ブログやレシピ、社会貢献活動に関する報告といったコンテンツが豊富に詰め込まれており、Facebook、Twitter、You Tubeといったさまざまなメディアも上手に活用している。

今回は、アトランタ郊外のAlpharettaの新店舗で実施されたキャンペーンから、Whole Foodsが地域住民とどのような形で交流を深めているのかを見ていこう。

キャンペーンの概要

キャンペーンは、消費者に生産者への理解を深めてもらうこと、また、食品におけるサステナブルな取り組みについて消費者に知識を提供することを目的として実施され、次の4つのコーナーが設置された。

1.Farm, Meet Table: 生産者に出会えるタッチパネル

生産者を紹介する複数のタッチパネルが設置され、生産者ごとにQ&Aや地図、プロフィールを紹介する動画、インスタグラムに掲載された写真などが表示される。タッチパネルを通じて、訪れた顧客が気軽にそして簡単に生産者について知ることができる機会を提供している。

2.Perfect Pairings: 顧客の好みに合わせた商品を薦めるタッチスクリーン

ワインやチーズを販売する売り場でも、インタラクティブなタッチスクリーンが設置された。顧客が食品の好みを伝えると、地元の生産品などの中から好みに合った食材を提案したり、パーティにワインを持参するとき、どのくらいの量を買うべきか? チーズプレートの上手な作り方は? といった疑問に答えたりと、ネットショッピングの利便性を店舗に取り入れたサービスになっている。

3.Whole Body Mirror: 遊びの要素を取り入れた商品リコメンド

サプリメントを含むボディケア商品の売り場には、ゲーム感覚で楽しめるアトラクションとして、Whole Body Mirrorという鏡状のスクリーンが登場した。これは、顧客が前に立つと映った体がスクリーン上でデジタルなオーラに包まれるというもの。オーラは「エネルギー」・「リフレッシュ」・「安らぎ」の3種類。これを通して顧客に対し、「今あなたに必要なものは『安らぎ』」といったメッセージを伝えるしくみとなっている。
各オーラにはそれぞれ顧客が取るべきポーズ(手足を曲げたり、両腕を上に伸ばしたりなど)も用意されていて、顧客がオーラに包まれた後にそのポーズがスクリーン上に現れる。そして、顧客がそのポーズをそっくりまねると、オーラがはじけ散って消え、まねたポーズにちなんだおススメ商品が表示される。例えば、「ストレスを減らすにはコレ!」という言葉とともにカルシウム剤の広告が現れる。

4.Wise Wood: 「サステナブル」について、学びの場を提供するコーナー

水資源の使い方や廃棄物の管理方法など、サステナブルな生産手法について学べる装置として、3メートルもの巨大な木製のタワーが設置された。これは、立体的な紙芝居のようなもので、中に木製の小さなアイテム(草花、動物などの形をしている)が組み込まれ、からくり用として使われている。タワーの一部に「エネルギーの保存」「コンポスト化」など、サステナビリティにちなんだテーマのノブが数種類用意されていて、そのノブを手前に引くと、それぞれのテーマに合ったからくりが現れるというしくみである。例えば、「エネルギーの保存」と書かれたノブを引くと、小さな風力タービン(風力発電用の風車)が出てきてクルクルと回り、子供にも理解しやすい仕掛けが施されている。

O2Oの実践でより魅力的な企業に

ご紹介したキャンペーンでは、4つのコーナーを組み合わせて設置することで、顧客は関心事(=食品を提供してくれている生産者やサステナブルな取り組み)について楽しみながら学び、好みの商品に出会うことができる。結果的にWhole Foodsとしては、自然な形で利益や売上につなげることができる。キャンペーンの内容はSNS上で顧客同士がシェアしたり、薦められた商品のレビューが掲載されたりと、オンライン上で拡散する可能性はあるが、イベント自体はアナログな要素が強い。

Whole Foodsのマーケティングが優れているのは、「O2O(=Online to Offline:オンラインとオフラインの施策が相互に作用してより高い効果をもたらすような取り組み)」)が絶妙な具合で実践されているところにある。例えばAlpharettaの店舗における12月のイベントカレンダーには、「店舗でのクリスマスリース作り、デモンストレーションイベント」と「Twitterでホリディシーズンのワインについてのチャット」が並んで掲載されている。共通項は「お客様に満足していただくこと」であり、実店舗・オンライン双方での取り組みが見事な相乗効果を生んでいる。

実店舗を保有する方は、オンラインでもオフラインでも魅力的なコンテンツを提供し、顧客と真摯に向き合うWhole Foodsの手法を、ぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。


参考:

hybrid-banner.png