駐在員の生活費ランキング、ホーチミンは世界88位

米コンサルティング大手マーサーが発表した「2016年世界生計費調査」において、ベトナム・ホーチミンは世界209都市中88位になりました。昨年より2ランクの上昇です。一方、ハノイは106位で、前年の86位から大幅に順位が低下しました。今年は、対米ドルの為替変動を受けて、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の多くの都市で順位が変動する結果となりました。

ASEANトップはシンガポール、通貨安で順位落とした都市も

ASEAN内で生活コストが最も高いのは、昨年同様4位だったシンガポール。次いで、ミャンマー・ヤンゴンが39位(昨年28位)。その後にタイ・バンコク(74位、昨年は45位)、フィリピン・マニラ(80位、同75位)、ブルネイ・バンダルスリブガワン(88位、79位)、ベトナム・ホーチミン(88位、90位)、インドネシア・ジャカルタ(93位、99位)、ベトナム・ハノイ(106位、86位)、カンボジア・プノンペン(118位、142位)、マレーシア・クアラルンプール(151位、113位)と続きます。
ASEANでは、前年と変わらず4位だったシンガポールのほか、ジャカルタ、プノンペン、ホーチミンを除いて順位を下げています。特に対米ドルで通貨リンギが大幅下落したクアラルンプールは世界209都市中151位となり、昨年から38順位を落としてASEAN内で最下位となりました。

生活費が世界一高いのは香港、コーヒー1杯が東京の2倍

生活費が最も高いとされた香港です。香港のコーヒー1杯の価格(サービス料を含む)は約7.8米ドルで、東京の約2倍にも上昇しています。ガソリン価格も1リットルで1.8米ドルと世界首位、住宅価格の高騰は特に顕著で、米ニューヨークや英ロンドンなどの大都市を上回る水準となっています。
これに対して、日本はどうでしょうか。東京は前回から6つ順位を上げて5位となり、大阪が22位、名古屋は54位。大阪は前年から10、名古屋は26順位を上げています。日本の各都市の順位上昇は、対米ドルでの円高の影響があると考えられます。
中国の都市は人民元が弱含んだことで多くの都市が順位を下げる結果になりました。上海が昨年の6位から7位、北京が7位から10位、深センが14位から18位となっています。

「アジア=生活しやすい」はもう古い?!

同調査は、世界5大陸209都市で住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を比較しランク付けしたもので、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の手当てを決定する際に利用されています。
日本はいまだ上位にランクインしているものの、東京やニューヨーク、ロンドンを抜いて香港が生活費トップになったことは、「アジア=生活費が安い」という時代が終わりを告げようとしていることを意味するのではないでしょうか。
アジアに進出する日系製造業企業は、現地の安くて豊富な労働資源を生かした生産拡大を進めてきました。しかし、現在は70位以下となっている東南アジアの各都市も、今後経済成長とともに順位を上げてくることが予想されます。生活コストの上昇に伴い、日本から駐在員を派遣して現地拠点の統括を行っている日系企業は、現地人材のマネジメントクラスへの登用を増やすなど、駐在員コストを削減する努力を迫られる可能性があります。
一方、ASEAN域内で順位が上がったシンガポール、ジャカルタ、プノンペン、ホーチミンは、昨今経済成長に伴う購買力の高まりが注目され、日系の飲食チェーンや小売、その他サービス産業の進出が著しい地域です。購買力の拡大という面でみると、物価の上昇は必ずしも悪いことばかりではないといえます。

参考:

マーサー 『2016年世界生計費調査‐都市ランキング』

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