ASEANの時間感覚は「ゴムのように伸び縮み!?」各国を比べてみた

「時間」のとらえ方には、各国の文化や生活環境がよく表れます。日本では「時は金なり」という言葉がありますが、インドネシアには「ジャム・カレット(ゴム時間)」という言葉があります。時間とはきっちり決められるものではなく、ゴムのように伸びたり縮んだりするもの。博報堂の調査をもとに東南アジア諸国連合(ASEAN)の人々の時間感覚を見ていきましょう。

待ち合わせ時間、どれくらい待てる?

友人との待ち合わせ。時間に遅れて来る相手をどれくらいなら待てる? 許容範囲をASEAN各国で比べてみました。シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、インドネシアのうち、許容時間が最も短かったのはマレーシアの23.5分。反対に、最も気長に待てるのがタイの31.4分。超高速で動くエスカレーターで有名なASEAN一の合理主義国、シンガポールは意外にも27.3分で、ベトナム(25.5分)よりも長く、インドネシア(27.6分)とほぼ同じ結果でした。

一方「友達を待たせてもいいと思う時間」が最も長いのは、インドネシアの28.6分。ほかの4か国は、自分が待てる時間よりも待たせる時間のほうが短いのですが、インドネシアだけはその反対で、自分が待てる時間よりも相手を待たせてもいいと考えているようです。

博報堂によると、インドネシア人はempathy(他人への思いやり)よりもdemanding(自分の要求過多)な性格が強く、そうした面が時間感覚にも表れているではとのこと。自分が遅れるとき、時間はゴムのように伸び、自分が待つ場面になったら一気に縮んでしまうようです。まさに「ジャム・カレット(ゴム時間)」ですね。

ビジネス上での遅刻:許容範囲は最長23

それでは、ビジネスシーンでの時間感覚はどうでしょうか。日本なら、社内やクライアントとの会議があれば、5分前には到着しているという人が多いのでは? 「会議の開始予定時刻から実際に開始されるまで待てる時間」と「会議に遅れてもいいと思う時間」を聞いたところ、どちらも最短はベトナムの10.8分と5.9分でした。最長はタイの23.0分と18.6分。

博報堂は、近年の経済発展やグローバリゼーションの影響を受けて、ベトナム人の若い世代で遅刻に対する感覚が改善されていることが、このような結果につながっているのではないかと分析しています。

なぜ東南アジアは「ゴム時間」なの?

「ゴム時間」が生まれた背景には、気候が大きく関係していると考えられます。熱帯性気候のASEANは年中温暖で自然資源に恵まれ、一生懸命畑を耕さなくても、フルーツや作物が自然に実ります。四季のある国のように季節や時間が農作業や生活を左右する要因になりづらいという歴史がありました。

また、近代では、交通事情も関係していると考えられます。インドネシアの首都ジャカルタ市内は、年中交通渋滞がひどいことで有名です。空港に行くだけでも、1時間で到着するときもあれば、6時間かかることもあるといった具合で、日本のように分刻みで交通機関が動いている国とは状況がまったく違うのです。

時間感覚を制する者はビジネスを制す?!

今回の博報堂の調査では、友人との待ち合わせの場面において、最も「待ち合わせに遅れてもいい」と思っているインドネシアと、「待てる時間」「遅れてもいいと思う時間」ともに最短となったマレーシアで、「わざと相手を1時間待たせたらどういう反応をするか」という実験も行われました。

インドネシアでは待ち合わせに1時間遅れてもそれほど気にされることはなく、あらかじめ遅れることを前提に集合場所にはゆっくり待てたり時間を潰せたりする場所を指定するそうです。一方、マレーシアでは20分を過ぎたころから遅刻者のことを気にし始め、「どこにいる?」と電話やチャットで連絡を取り始めます。50分を過ぎると、すでに集まっているメンバーから「これ以上遅れるのなら今日は帰ろう」という声が出るあたり、お隣の国でもインドネシアとは時間感覚が異なるようです。

こうした人々の時間感覚は、歴史や気候風土、文化的な背景によって形作られています。ついつい自分の生まれた文化や環境と引き比べて文句をいいたくもなりますが、異文化マネジメントのひとつと考えて、許容していくこともときには必要です。

参考:

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