アジア圏の英語能力、シンガポールが1位

スイスに本部を置く言語研修会社、EF(エデュケーション・ファースト)が実施した2016年版国別英語力ランキングで、アジア地域ではシンガポール(世界6位、63.52点)が首位となりました。

日本は51.69点で域内10位(同35位)です。今回は、同ランキングをもとにして、東南アジア諸国の英語レベルについて見ていきましょう。

シンガポール、マレーシア、フィリピンがトップ3

EFの同調査では、英語を母語としない世界72カ国・地域(うちアジアは19カ国・地域)の成人約95万人を対象に調査を実施し、100点満点でEF英語能力指数 (EF-EPI)を算出し、ランク付けをしています。

シンガポールに続いたのは60.70点で世界12位(前回は14位)のマレーシア。次いで、フィリピンが60.33点で3位(世界で13位)です。これら上位3カ国は、イギリスとアメリカという英語を母国語とする国の植民地となっていた歴史があるため、英語と親和性が高いと考えられます。

また、シンガポールとマレーシアは、異なる言語や文化を持つ民族が暮らす多民族・多文化国家であるため、他民族同士のコミュニケーション手段として日常的に英語が使われていること、教育言語として英語が取り入れられていることも、英語能力が高い要因でしょう。

4位以下は、インド(同22位)、韓国(同27位)、香港(同30位)など。世界トップ10はシンガポール以外全て、平均的な英語力が高いとされている欧州諸国でした。

タイ、インドネシア、ベトナムは英語力が「標準」または「低い」グループに

一方、東南アジアで英語能力の開発が比較的遅れているのは、日系製造業やサービス業の進出がさかんなタイ、インドネシア、ベトナムなど。

ベトナムの指数は54.06点で、前年の53.81点から点数は多少上昇したものの結果は世界31位(前回29位)。2年連続で「標準的」と評価されています。また、タイの指数は前年の45.35点(世界62位)から上昇したものの、結果は47.21点(同56位)と6年連続で「非常に低い」と判断されており、英語能力の高い人材が少ないことを示しています。

こうした国々では、国際ビジネスや学術面のほか、国際的な観光市場で働く人材や医師・看護師といった専門職などで、英語能力の高い人材が求められています。

指導方法の改善受け若年層ほど英語力高く

EFのレポートによると、アジア各国の英語能力を世代別に見たところ、若年層ほど英語力が高いという傾向が見られました。これは、世界平均と同じ傾向を示しており、アジア各国の英語の教育指導方法が改善されていることを表しています。

今回、英語能力が低いとされた国でも、今後は成人の英語能力が向上していく可能性があります。
また、どこの地域でも男女別で見た場合には、女性の英語能力が男性を上回る結果になりました。

英語は経済成長のカギ

EFはレポートの中で、英語能力と一人当たりの国民純所得は相関関係があると指摘しています。
英語ができる人材が多いとビジネスがしやすくなるため、英語人材の豊富さは、海外、とくに先進国からの投資を呼び込むにあたっての強みになります。

英語力の高い人材が多いほどビジネス面でも意思疎通がしやすくなるため、外資系企業が単なる低コストを目的とした製造拠点としての役割を超えた地域統括拠点となる事務所を開設したり、研究・開発(R&D)やマーケティングといった高度な業務を担う部門などを開設したりできるようになります。例えばフィリピンでは、英語で対応するコールセンターやシェアードサービスといったBPOサービスもさかんです。

マレーシアは、多民族・多文化国家、英語能力の高い人材が豊富、東南アジアの中央に位置するといった強みを生かし、地域統括拠点やR&D拠点を設立した企業に対し、税制優遇などのインセンティブを提供しています。パナソニック、ソニー、シャープといった日本の家電大手も、マレーシアで新興国向けの家電製品のマーケティングや開発を行っています。

所得アップにつながる

英語力を高めることによって、ホワイトカラーの給与の高い仕事が得られるようになり、国民の所得も高くなります。所得を上げて国や個人を豊かにするため、政府や個人による英語トレーニングといった教育への投資がさかんになります。

英語が国際ビジネスにおける公用語である以上、国民の英語能力と経済成長は切っても切り離せない関係にあるのです。英語能力は国家の経済成長の鍵だといえるでしょう。


参考:

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