訪日外国人観光客に密着!YOUは日本で何食べる?

中国や東南アジアからの訪日客向け観光ビザ要件の緩和で、外国人観光客数はうなぎのぼりに増えています。2016年は6月初旬の時点で昨年より1か月早く訪日客が1000万人を超えたことが明らかになっています。東京五輪に向けてこの傾向はますます強まると考えられます。飲食店や商業施設にとって、外国人観光客への対応は必須となるでしょう。

なかでも注目したいのは、経済成長著しいイスラム教圏からの観光客です。特に、東南アジアのイスラム教国であるインドネシアやマレーシアは、訪日観光ビザ発給の要件が緩和されているため、気軽に訪れるようになっています。今回は、あるムスリム(イスラム教徒)観光客Sさんの訪日旅行に密着し、越境ECなどの潜在顧客である彼らはどういったものを食べ、買い、どのような要望があるのかを探ります。

豚肉だけじゃない!ムスリムが日本で肉を食べない理由

イスラム教では、アルコールと豚肉がご法度であることはよく知られています。イスラム教の戒律で許されているものは「ハラル(ハラール)」許されていないものは「ハラム(ハラーム)」と呼ばれます。

イスラム教徒にとって、豚肉は禁忌中の禁忌。イスラム教徒でも、個人の信仰や考え方によってアルコールをたしなむ人はいますが、豚肉に関してはエキスもラードもダメ、豚肉を調理した調理器具やお皿も使わない、調理場も分けてほしいという人も少なくありません。豚肉が食べられないのなら、ポークカレーの肉ナシを出せばいいだろう……という話ではないのです。

「ハラル」のはずの鶏肉や牛肉もダメ?

さて、日本に到着したSさん。日本には、豚肉を使わない「ポークフリー」や「ハラル」の認証をとっている飲食店が少ないので、食べられそうなメニューがある街中の飲食店に入りました。しかし、豚肉のみならず、牛肉や鶏肉も食べません。牛肉や鶏肉ならば戒律で許されているのではないでしょうか?

実は、ハラルと認められるには加工や調理に関して一定の作法が要求されます。食肉に関する規定は特に厳しく、定められた作法にのっとってと蓄・加工処理したものでなければなりません。Sさんは「シーフードなら問題ないだろうから……。それに、日本はスシとかサシミとかシーフードがおいしいと有名だしね」と、サーモンいくら丼定食を注文しました。

なお、Sさんよりもさらに厳格に規律を守り、旅行中でも必ずハラルのものを食べたいというムスリム旅行者は、米国発の「Zabihah(ザビハー)」というレビュー投稿型アプリや、英語による日本のハラル情報を集めたポータルサイト「ハラールメディアジャパン」によるレストラン検索アプリ「HALAL GOURMET JAPAN」などを利用して飲食店を探しているようです。

お土産物にもこだわり!信頼のハラルマーク

観光地めぐりや、お寿司、お刺身などのグルメを楽しんだSさん、今度はショッピングです。ふるさとで待つ家族や友人へのお土産を探しています。抹茶味のチョコレートなど、日本のお菓子は外国人に人気だというニュースを耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、Sさんはお菓子には目もくれず、緑茶のティーバッグを探しています。「日本で売っているお菓子の大部分はハラルマークがないからね。たぶん買って帰っても友達や家族は食べないと思う」とSさん。

イスラム教の戒律の定めに従って製造された製品に対しては、認定機関から「ハラル認証」のロゴマーク(ハラルマーク)が与えられます。イスラム教国のスーパーで販売されているお菓子や加工食品の多くには、このハラルマークが製品のパッケージに印刷されています。日本のお菓子でも、現地で生産・輸入されているもののなかには、ハラルマークが付けられているものもあります。ハラルマークは、イスラム教の消費者にとって「安心」「安全」の印なのです。

Sさんの買った緑茶にはハラルマークがついていませんでしたが、「植物が原料ならまず問題ないから」と話し、「最近、健康ブームでグリーンティーが人気だから、喜ばれると思うよ」と大量買いしていました。

ハラルを知ればグローバルなイスラム市場が近づく

イスラム教徒は世界で約18億人(2012年時点)。ムスリムを対象とする市場規模は推定300兆円といわれ、2030年までには1,000兆円に達するとされています。今後、観光客としてだけでなく、越境ECなどでもその購買力の拡大が見込める市場です。「ハラル」として許容される度合いはそれぞれ異なるという面もありますが、基本的な点を押さえておけばこの巨大市場へのリーチが夢ではないのです。

参考:

hybrid-banner.png