外国人観光客の心をつかむ!インバウンドマーケティングのためのWEB活用法

多くの外国人観光客が日本を訪れ、注目を集めるインバウンドマーケティング。2015年の訪日外国人客は1,973万7,000人にのぼり、年間の旅行消費額は3兆4,771億円と巨大な市場に発展している。より多くの顧客を取り込むには何が必要だろうか? インバウンド消費の現状と効果的なプロモーションの成功例から、今、インバウンドマーケティングに求められているものを考える。

外国人観光客はどのくらい増えているのか?

日本政府観光局(JNTO)が2016年1月に発表した「平成27年 訪日外客数・出国日本人数」によると、2015 年の訪日外客数は前年と比較して47.1%増加し、1,973万7000人となった。これは、統計開始以来、過去最高の伸び率である。

外国人観光客が急増した背景には、燃油サーチャージが値下がりしたことにともなって航空運賃が下がったことや航空路線が拡大して日本を訪問しやすい環境が整ったことなどがある。

また、訪日外国人客の数を国別のシェアで見ると、最も多いのが中国の499万人、ついで韓国の400万人、台湾の368万人となっている。また、これに香港の152万人を加えた東アジア圏で、全体の72%を占めている。そのほかでは、米国やタイからの訪日客が目立ち、米国からの訪日客数は103万人となっている。2014年の同調査では、中国214万人、韓国276万人、台湾283万人、米国89.2万人であることから、東アジア圏からの訪日客が大きく伸びていることがわかる。

インバウンド消費の現状

外国人観光客は、どの程度の金額を日本で消費しているのだろうか? 観光庁の「訪日外国人の消費動向」平成27年年次報告書には、訪日外国人の旅行支出額が詳細に掲載されている。それによると、2014年の訪日外国人の旅行支出は、1人あたり17万6167円となり、2014年の15万1,174円と比べて16.5%増加した。

また、宿泊費や交通費を含めた旅行消費額は年間で3兆4,771億円にのぼり、これは2014年の2兆278億円と比べて71.5%もの増加となる。なお、国や地域別では中国の旅行消費額がもっとも多く、ついで台湾、韓国の順となり、訪日客数の順位に近い結果となっている。

これらのデータからも、外国人観光客の存在がマーケティングにおいていかに重要な存在となっているかがかわるだろう。

インバウンド消費をうながすために何が必要か?

これらの外国人観光客の需要を的確につかみ、効果的にプロモーションしていくには何が必要だろうか? 日本への旅行を考えている人の多くは、訪日前にインターネットで情報を収集するだろう。そして、その際にもっとも大きなハードルとなるのが言語の問題だ。日本を旅行するために旅行先の情報を知りたいと思っても日本語のサイトしか見つからなければ、そこで情報収集をあきらめてしまう人は多いかもしれない。

また、有名な観光地の情報は海外からでも比較的得やすいのに対して、地方の小さな温泉地の情報は不十分であることも多い。このため、せっかく外国人観光客が好む観光資源を持っているにもかかわらず存在自体を認識されず、観光客の呼び込みができていないケースもある。

つまり、海外から日本を訪れる旅行客がどのような情報を得たいと思っているのか的確につかみ、求められている情報を提供していくことが重要になる。

インバウンドマーケティングの成功事例

それでは、実際に外国人観光客に情報提供を行うために、何をすればよいのだろうか? 外国人観光客に向けたWebサイトを活用した情報提供やプロモーションについて、いくつかの事例を見てみよう。

多言語サイトで各国の観光客に情報提供

早くから海外向けプロモーションに取り組んでいるのが、石川県加賀市および白山市の観光事業者と小松空港、加賀四湯とよばれる近隣の温泉地(山代温泉、山中温泉、片山津温泉、粟津温泉)などが設立した「加賀白山海外誘客推進協議会」である。

この協議会では、2010年に多言語の観光案内サイトを立ち上げたが、当初から日本語のページはなく、外国人観光客に向けた情報提供に特化していた。サイトは英語と韓国語、中国語簡体字および中国語繁体字の4言語があり、観光や食、イベントなどの情報を発信している。

さらに、サイトを見つけてもらうための施策も実施。Googleでのリスティングや中国で人気のSNSサービス「新浪微博」(シナウェイボー)への投稿を行った。また、Webコンテンツについても時間をかけて改善を重ねた結果、自然検索で上位に表示されるようになり、2014年には前年同月比で3~5倍となる8万3,000PVを達成した。さらに2016年度には30万PVを超えることが予測されているほど大きな成果を挙げている。

15の言語で日本の観光スポットや文化を紹介

日本政府観光局(JNTO)の公式サイトでも、日本の観光情報を提供するサイトを15の言語で展開。各地の観光スポットやイベント、おすすめの旅行ルートなどを掲載するほか、日本の四季や伝統文化を紹介するコンテンツも用意されている。各国の言語に対応した宿泊施設や交通機関の予約サイトにもリンクされているので、情報を得たらそのまま予約することも可能だ。

外国人観光客に人気の高い主要スポットを中心に各地域の概要が網羅されているので、日本への旅行を考えている人が旅行先の地域を選ぶのに役立つだろう。

SNSでの情報拡散も意識する

外国人観光客が日本を旅行する前の情報収集の手段として、SNSも重要な存在だ。海外旅行に限らず、今は多くの人がSNSで情報を得たうえで行動している。SNSの口コミで地域の魅力が広まれば、そのスポットを訪れる観光客も増えるだろう。このため、その地域を訪れた外国人観光客にSNSで情報発信してもらえるような工夫も必要になる。

群馬県中之条町の温泉旅館「柏屋旅館」では、海外からの宿泊客にSNSへの投稿をお願いするカードを手渡している。同時に、英語のWebサイトを開設して情報を掲載し、ブログでの情報発信を通じて「東京から近い」「貸し切り風呂」といったキーワードでサイトが表示されるようにした。

同旅館のある四万温泉は、草津や伊香保といった同県内の他の温泉地に比べると知名度が低い。しかし、有名な観光地を避けてあえて静かな場所で過ごしたいという旅行客に絞ったプロモーションを行ったことで、集客に成功している。

音声翻訳を活用した接客も

Webでのプロモーションだけでなく、実際に訪れた観光客への接客をより向上させていくことも重要だ。西武鉄道は、英語や繁体字および簡体字中国語、韓国語などに対応した音声翻訳アプリをインストールしたタブレット端末を西武線の各駅に配置し、外国人観光客への案内に活用している。2012年から順次設置をすすめ、2016年4月には1駅をのぞくすべての駅で導入された。

何を求められているのかを把握し、それに応える

日本が観光地として注目され、それにともなう消費が拡大している今、これらのニーズを取り込んでいくことはマーケティングにおいて不可欠だろう。海外顧客向けのプロモーションは、国内向けとは異なる施策や工夫も必要になる。外国人観光客がどこで情報収集するのか、どのような情報を求めているのかを的確につかみ、それに応えていくことが欠かせない。

参考:

 

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