ベトナムで飲食チェーン店の閉店が増加?!急拡大が裏目に

経済成長と人口増で、東南アジア諸国連合(ASEAN)内でも大きな期待を受けるベトナム。そんな「優等生」のはずのベトナムで最近、飲食店の閉店が続いているそうです。ベトナム飲食業界になにがあったのでしょうか。

あいつぐ店舗の閉鎖、急成長があだに?!

米系ファストフードチェーンのバーガーキングは、2015年末から、ベトナム国内の店舗を相次ぎ閉鎖しています。ベトナムにバーガーキングが進出したのは、4年前の2012年。投資額は飲食店としては破格の4,000万米ドルで、次々と店舗網を獲得していきましたが、2015年から一部店舗を閉鎖。このほか、地場の飲食チェーンでも撤退・閉鎖が始まっているようです。
もちろん、飲食店の閉鎖理由はひとつではありません。とくに、国際的な大規模チェーンともなると、店舗管理や衛生・品質などに厳しい内部基準があり、新興国ではこれらの基準を満たすのは難しい場合もあります。一方、地場の小規模チェーンであれば、資金調達という問題があります。ベトナム飲食業界の専門家は、バーガーキングの場合はとくに、「店舗の拡大を急ぎすぎるあまり、高い賃料でも出店せざるを得なかった」点を指摘しています。

ベトナム飲食業界の現状

ユーロモニターの調査によると、ベトナムの外食市場は、2010年時点で店舗数が54万店(前年比1.2%増)で、金額ベースでの市場規模は500兆ドン(同7.5%増)となっています。ベトナムの商工省によると、2016年までの過去8年間で、42の海外飲食チェーンがベトナムに上陸しました。
ベトナムでは、若者世代を中心にファストフードの需要が伸びており、バーガーキングやマクドナルド、ピザハットといった米国チェーンのほか、フィリピンで国民的人気を誇る「ジョリビー」などが進出しています。ただ、ハンバーガーよりも、ジョリビーやケンタッキーフライドチキン(KFC)のような、フライドチキンをはじめとする鶏メニュー中心のファストフードが好まれるという指摘があるようです。先のバーガーキングの例でも、店舗閉鎖理由として、「(バーガーキングの主力商品である)ハンバーガーの味が、ベトナム人に受け入れられなかった」という指摘があります。同様に、マクドナルドも客数が減少しているようです。
ファストフードチェーンだけでなく、経済成長に伴って日本食や韓国料理、イタリアンといったレストランの需要も伸び、店舗数を拡大しています。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調べによると、在住日本人数の伸びが著しくなった2007年前後から日本食店の増加が進み、最近では、高所得のベトナム人を主力客とする店舗も増えています。さらに、大型デパートやショッピングセンター内のフードコートにも、日本料理店が出店するようになっており、高所得層から中間層へと客層が広がっているとみられます。以前は、「刺身」「すし」などの生魚に拒否反応を示す人も多かったベトナムですが、経済成長に伴う所得の上昇や生活の変化から徐々にそうした料理への理解も進み、最近ではシーフード料理店やベトナム料理店でも「サーモンの刺身」や「刺身サラダ」がメニューに登場したり、地場スーパーマーケットで巻き寿司のパックが売られたりするようにもなっています。
また、ベトナムはコーヒーの生産がさかんで、フランスの植民地であった歴史から、カフェ文化が発達してきました。このため、ホーチミン市を中心に外資系のカフェやベーカリーショップも数多く進出しています。

外食産業への外資開放進む、TPPでメリットも

2015年1月より、ベトナムの外食産業に対して、外資系企業の独資での参入が認められるようになりました。また、外資系企業による製造及び企業内の物流管理ネットワークの設立も認められ、大手外食チェーンはセントラルキッチンを設置して、スケールメリットを生かした経営をすることが可能になりました。この法改正で、ベトナム人の名義を借りてレストランを経営している場合、100%外資化も可能になりました。
ベトナムは環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加を表明しており、発効すれば関税の軽減や撤廃によって肉などの食材がより安価に手に入るようになるでしょう。
このように、ベトナムの飲食業界はまだまだ成長可能性にあふれているといえますが、バーガーキングなどの例にならって、じっくりと市場の方向性やコストバランスなどを見ながら進めていくのが得策といえます。


参考:

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