エモーショナルブランディングに成功するために

エモーショナルブランディングとは、消費者の心に訴えかける宣伝を打つことにより、企業やブランド、商品に対して深い愛着を持ってもらおうという趣旨のブランドマネジメント法である。15年ほど前にフランスのブランディングクリエーター、Marc Gobé氏によって提唱された概念であるが、これが提唱される以前から消費者の心に触れるブランディングに取り組んできた企業も多い。

インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングなど、ユーザーにとって魅力的かつ有益なコンテンツを発信することで、ユーザーのエンゲージメントを高めるマーケティング手法が注目を集める今、エモーショナルブランディングから学ぶことも多い。そこで今回は、エモーショナルブランディングに成功するためのキーポイントをご紹介したい。

生身の人間として顧客と向き合う

エモーショナルブランディングに基づくキャンペーンを実施する場合、企業側がまず心がけたいのは、一人の人間としてオーディエンスに向き合うことである。消費者・商品といった商業的な概念から少し離れて相手の立場に身を置き、求められていることは何か、じっくりと考えてみよう。日ごろから顧客のことを理解しようと努め、どのような価値観を持っているのかを把握していれば、顧客の心に届くアイデアを思いつきやすい。

1.感情を揺さぶる「ホットボタン」を意識する

エモーショナルブランディングでは、どのような種類の心情に訴えかけるキャンペーンを打つのか、明確に定めておくほうがよい。商品やサービスを購入する理由はオーディエンスによってそれぞれ異なるので、特定の感情をターゲットにしたほうが、より強いインパクトを与えることができる。
感情を特定する際に便利な概念が「ホットボタン(=Hot Button)」である。ホットボタンとは、人間の持つ潜在的願望のことを言う。ベテランのマーケターであるBarry Feig氏は、「人々を購入に導く感情のホットボタン」として、次の16種類の願望を挙げている。

コントロールしたい/他人より優れていたい/新たな発見に興奮したい/再評価したい/家族を大切にしたい/何かに帰属したい/楽しいことはそれ自体が報いであってほしい/時間に追われていたい/最良のものを手に入れたい/自己実現したい/性欲・恋愛への願望/教育効果を得たい/自分を再構築したい/賢くなりたい/影響力を持ち、支配したい/願いを叶えたい

自社の顧客はどのような願望が強いかを考えたうえで、願望の種類を選択し、それを満たすような内容のキャンペーンを実施すれば、顧客の関心を引く可能性が高まる。

2.物語を伝える

オーディエンスの感情に訴えかける際、物語の形にして伝える方法が定番かつ最も効果的である。ストーリー性のある広告と言えば、コカ・コーラやナイキのCMをすぐに思い浮かべる方も多いのではないだろうか。例えばコカ・コーラのクリスマスバージョンのCMでは、働く母にサプライズを届ける子供たちなど、人々が気持ちを伝える様子をサンタクロースが嬉しそうに眺めている。コカ・コーラのCM全般に通じる「ハッピーを届ける」というメッセージが見る側の心を温かくする。こうしたCMは、商品の良さなど具体的なメリットに言及しているわけではないが、見終わった後もずっと心に残り、人々はブランドに対して好印象を抱き続ける。

テレビCMは大掛かりだが、物語性のあるブログ記事を書いたり、インスタグラムやVineのようなツールを活用してスマートフォンで動画を作成したりするなど、共感を呼ぶコンテンツの制作を目指そう。

ファンになってもらうことの強み

エモーショナルブランディングに成功すれば、顧客のエンゲージメントは飛躍的に高まり、「このブランド・企業が好きだから」という理由だけで長期的に顧客でいてくれる可能性が高まる。そういった意味では、1つひとつの商品の良さをアピールするよりもずっと効果的な手法である。こうしたブランドマネジメントの手法を取り入れれば、コンテンツがより魅力的なものになるのではないだろうか。


参考:

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