顧客の行動を理解しよう!SEMにおけるカスタマージャーニーマップの活用方法

顧客の心理を理解して、行動を理解するために役立つものとして注目されている「カスタマージャーニーマップ」。どのようなメリットがあり、具体的にどのような手順で作成するのだろうか? そして、リスティング広告で有効活用するには? カスタマージャーニーマップを作成し、広告効果アップにつなげるために知っておきたい基礎知識を紹介する。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップとは、名前のとおり、顧客の行動を「旅」にたとえて図解にしたもののこと。顧客が商品やサービスの購入に至るまでのプロセスを視覚的に理解しやすい1枚のマップにまとめることで、顧客の行動や心理を可視化することができるのだ。

カスタマージャーニーマップは、顧客の行動と媒体の関係に重点をおいて作成する。顧客がどのように商品やブランドと接点を持ってこれらを認知し、購入意欲を喚起されているのかを明確に図解化することで、ユーザーの行動全体を俯瞰して見渡すことができるようになる。

どんなメリットがあるのか?

カスタマージャーニーマップの活用には、次のようなメリットがある。

A.データが整理され、課題を把握しやすくなる

複雑で多彩な顧客の行動や思考、感情などを1枚の図にまとめることで複雑なプロセスが整理される。可視化によって課題を直感的に理解できるようになるので、ディスカッションもしやすくなるはずだ。

B.広い視野で考えることができる

顧客の行動全体を見渡すことで、通常の広告制作よりも広い視野を持ってさまざまな可能性を考えることができる。Web広告だけでなく、他の媒体や広告手法との連携など、新しい施策を考えるきっかけにもなるのだ。

C.行動と媒体の関係を可視化できる

カスタマージャーニーマップでは、顧客の行動を分類して、それぞれの行動と媒体との関わりを整理する。これによって顧客行動が明確になり、現在の顧客行動と媒体の組み合わせを別のものに置き換えた場合など、新しい施策を立てやすくなる。

作成の手順

では、カスタマージャーニーマップは具体的にどのような手順で作成するのだろうか? カスタマージャーニーマップにはさまざまなスタイルがあり、作り方も多様だが、以下に作成プロセスの一例を紹介する。

(1)顧客行動を収集する

まずは、顧客が商品を購入するまでの行動を、箇条書きにして挙げていく。この作業には、大きめの付箋紙を使い、「情報を検索する」「価格を調べる」など、1枚に1項目を記入すると整理しやすくなる。

その後、書き出した行動を顧客の目的ごとに分類する。これによって、顧客の行動パターンが浮かび上がってくるはずだ。これをもとに、行動をいくつかの段階に区切って体系化する。

(2)顧客が考えていること、感じていることを収集する

続いて、段階ごとに「現状に不満を感じている」「購入を迷う」といった、顧客が考えていることや感じていることを書き出していこう。行動から一歩踏み込んで考えることで、顧客の感情や思考が見えてくる。このプロセスを経ることで、より顧客に寄りそった、共感されやすいアプローチができるようになる。

(3)課題をディスカッションする

上記のプロセスで、顧客の考えていること・感じていることを書き出すと、「情報が不足している」「サービスの選択肢が少ない」など、顧客が抱えている課題が見えてくるはずだ。しかし、この段階ではまだ、課題は整理されていない。そこで、浮かび上がった課題に対して課題の優先度や大きさについて検討を行い、整理する。

(4)課題を施策のアイデアにつなげる

ディスカッションを通して整理した課題をさらに分析することで、新たな施策のアイデアにつなげることができる。

(5)顧客行動と媒体を視覚化する

ここまでに挙げた行動をマップにまとめる。マップの形式にはさまざまなものがあるが、基本的には、顧客と媒体の関わりを、時系列に整理することになる。すべての情報が1枚のマップでわかりやすく視覚化されるので、課題を検討しやすくなる。

(6)完成したマップから課題を抽出する

最後に、完成したカスタマージャーニーマップから、どのようなサービスを顧客に提供するのがもっとも有効なのかを考える。それぞれの段階における顧客の「行動」「媒体」「感情・思考」「課題」の関係性を俯瞰することで、ユーザーが抱える課題のなかで、サービスとして提供できるポイントがどこにあるのかが見えてくるだろう。このようにして見えてきたものを、新たな施策へとつなげていく。

カスタマージャーニーマップ.png

出典:Web担当者フォーラム

 

カスタマージャーニーマップの種類

マップのスタイルには、行動を時系列に表したものや、感情を表すアイコンを入れたもの、イラストを活用してより見やすくしたものなど、さまざまな種類がある。以下にいくつかの例を紹介する。

行動を時系列に分けたもの

上記の作成手順で紹介したものと同様のスタイル。顧客の行動を時系列にいくつかの段階に区切り、それぞれのステージでどのようなことを考え、どう行動するかを図式化したもの。このカスタマージャーニーマップは、旅行代理店の利用における流れを表したものだ。

顧客が旅行をしようと考え、情報の収集を開始してから、予約をして実際に旅行をして帰るまでの行動のなかで、どのような媒体を使い、どのようなことをするのかが図解されている。リサーチの段階では、顧客はネット検索や友人からの口コミ、そして、この旅行代理店のWebサイトに接することになる。予約段階に進むと、インターネットや電話で予約をしたあと、プリントアウトや郵送でチケットを受け取る。その後、旅行の準備ではアプリを使って地図や旅行プランを確認し、旅行後は、体験をインターネット上で共有する。

 カスタマージャーニーマップ1.png

出典:Adaptive Path

 

円形のもの

顧客の行動が繰り返し行われるものの場合、カスタマージャーニーマップは円形で表現されることもある。このマップは、モバイルコマースにおける顧客の行動を表現したものだ。「ディスカバリー」「エンゲージメント」「コンバージョン」「リワード」の4つのステージを繰り返す流れのなかで、顧客がどのようなサービスを利用して、どのように行動しているのかがWeb、リアルを合わせて記載されている。

カスタマージャーニーマップ2.png

出典:visually

 

グラフで表したもの

横軸が時系列、縦軸に顧客の感情の動きを示したグラフを使ったカスタマージャーニーマップ。ここでは、引っ越しのためにプロバイダを変更するときの行動を視覚化したものだ。ユーザーの行動を「調査」「比較」「購入」「設置」の4つの段階に分け、それぞれの時期におけるユーザーの行動や感じたこと、考えなどを詳細に記入することで、顧客の動きを把握できるようにしている。

カスタマージャーニーマップ3.png

出典:UXmatters

 

グラフとアイコンを使ったもの

カスタマージャーニーマップをより見やすく、理解しやすくするために役立つのが、アイコンの活用だ。このマップでは、横軸に時系列、縦軸に感情の動きを取っている点は上記と同じだが、そこにユーザーの感情の変化を表現した顔のアイコンを加えている。

顧客の感情や考えは、もちろん、文字として記載しただけでも理解できる。しかし、このように絵で表現することで、見た瞬間に直感的に把握できるようになるのだ。

カスタマージャーニーマップ4.png

出典:Kerry Bodine

 

写真やイラストを多用したもの

イラストや写真を使うことで、カスタマージャーニーマップはさらに視覚化される。このマップでは、顧客の行動がイメージできるような写真や、それぞれのステージでの行動や会話を描いたイラストをふんだんに取り入れることで、顧客行動の全体像が、映像を見ているかのようにすんなりと理解できるようになるのだ。

イラストを書くのはハードルが高いという場合でも、イメージ写真を探してそれをコラージュするのは比較的取り組みやすい。どうすれば、よりわかりやすくなるのかを考えて工夫することもカスタマージャーニーマップ作成においては大切なことだ。

カスタマージャーニーマップ5.png

出典:Shmula.com

カスタマージャーニーマップは、決まった形式が存在するものではない。だからこそ、それぞれの商品やサービス、企業の特性に応じたスタイルで作ることができる。基本的な作成方法さえ押さえれば、あとは自由に必要な情報を追加していけるのだ。この柔軟性もカスタマージャーニーマップの大きな魅力のひとつだろう。

ここで紹介した以外にも、さまざまなカスタマージャーニーマップが存在する。最初はシンプルなスタイルで作成して、慣れてきたらより視覚的にしたり、情報を付け加えたりしてみるのも良いのではないだろうか。

カスタマージャーニーマップはSEMでも活用できる!

SEMにおいても、カスタマージャーニーマップの活用は可能だ。カスタマージャーニーマップが注目されている背景には、Webサイトのアクセス解析や、広告のクリック数などの効果、顧客の属性や購入履歴や閲覧履歴といったといったデータが詳細に取得しやすくなったことがある。

SEMでは、これらのデータに基づく施策は特に重要なものとなる。そのため、SEMにおいてもカスタマージャーニーマップを使って顧客の行動を把握することは有効だ。

これらのデータを使って顧客の具体的な行動を視覚化することで、つい見落としてしまいがちな細かい部分までしっかり把握できるようになる。

SEMで使えるカスタマージャーニーマップを実際に作成してみよう

では、もっともシンプルな行動を時系列に表したマップにユーザーの考えや行動を記入して、SEMにおけるカスタマージャーニーマップを作成してみよう。

まず、商品やサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスをカスタマージャーニーマップにする。顧客が最初に商品と接点を持つのはWeb検索になるだろう。顧客が考えていること、感じていることを可視化することで、どのようなキーワードで検索される可能性が高いかといったことも見えてくる。また、顧客行動を具体的にすることは、リスティング広告において、ターゲットの設定や広告文を考えるときに活用できるはずだ。

近年の顧客行動は、モバイルの普及やオムニチャネル化が進んだことにより、今まで以上に断片化・多様化している。このような時代だからこそ、Webの外の顧客の行動も把握しやすいカスタマージャーニーマップが効果を発揮するのだ。

結果はしっかり活用しよう

カスタマージャーニーマップを作ると、それまで「点」だったそれぞれの顧客行動が「線」としてつながる。すると、どのような情報を発信すれば、より顧客をひきつけることができるのか、どのようなサービスを提供すればより顧客に受け入れられるのか、といったことが見えてくる。カスタマージャーニーマップを作成したら、これらのことを具体的な施策につなげ、それを実践することが欠かせない。

作成しただけで満足していては、結果にはつながらないのだ。カスタマージャーニーマップから見えてきた課題を解決するための施策を検討し、プロモーションや広告に反映することではじめて、活用できたといえるだろう。

カスタマージャーニーマップは、顧客の情報を収集して分析する作業だ。これによって、顧客のことを常に考える姿勢が身につき、それがより顧客満足度の高いサービスへつながっていく。把握した情報をいかに活用するか、どうすれば顧客の満足をより高めることができるのかを考え続けることが大切なのだ。

 


参考:

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