東南アジア各国の法人税比較

長引く不況や少子高齢化の影響で国内市場が縮小するなか、海外展開によって活路を見い出そうとする日本企業は増えています。2016年10月現在の法人税を比較し、東南アジア各国の事業環境を見ていきましょう。

シンガポール

東南アジアのビジネスハブといえば、シンガポール。海外からの投資を積極的に受け入れることで成長を果たしてきた同国の法人税率は居住法人・非居住法人ともに17%。ただし、経済開発庁(EDB)などの政府機関の認定を受けた企業に対しては、軽減税率が適用されます。例えば、新設されたばかりの法人の課税所得に対し、設立から3年間は部分的に課税が免除されるスタートアップ企業への優遇制度があります。

タイ

自動車メーカーなど、日本のものづくりにおける、東南アジアの生産ハブの地位を担ってきたタイ。
同国の法人税率は、課税所得に対して原則30%。しかし、近年では税率の引き下げが図られており、2012年1月1日以降に開始した会計年度については23%、2013年1月1日以降(2015年12月31日まで)同20%の軽減税率が適用されました。2016年3月には、法人税率がさらに引き下げられ、2016年1月1日以降に開始する会計年度については、原則20%となっています。

マレーシア

自然災害の少なさや東南アジアの中間地点に位置する地の利、多様な民族性などから、ビジネスハブとして注目されているマレーシア。同国の法人税率は、2015年度は25%、2016賦課年度より引き下げられて24%になっています。なお、年間課税所得50万リンギ(約1250万円)以下の場合は、それぞれ20%、19%です。

インドネシア

アジア有数の人口の多さから、近年日系企業の進出が進んだインドネシア。同国の法人税率は25%ですが、上場会社で株式の40%以上を公開している企業に対しては20%という優遇措置があります。加えて、年間売上高500億ルピアまでの企業に対しては、48億ルピアまでの課税所得に対し税率を半減する優遇が受けられます。一方で、年間売上高48億ルピア以下の企業は、最終分離課税. (ファイナル・タックス)で毎月の売上高に対し1%が課税されるので注意が必要です。

フィリピン

個性的で型破りなドゥテルテ大統領の就任で政策が注目されるフィリピン。法人所得税率は30%で、「国内法人」「居住外国法人」「非居住外国法人」のいずれであるかによって課税所得が異なります。フィリピン法の下で設立された国内法人は、総所得から控除分を差し引いたすべての課税所得に対し、最高30%の税率が課されます。一方、外国企業のフィリピン国内の支店のような居住外国法人では、フィリピン源泉の課税所得に対してのみ、国内法人と同じく30%の税率が課されます。一方、フィリピン国内で事業を営まない非居住外国法人に対しては、各種控除は適用されず、フィリピン源泉の総所得に対して最高30%の最終源泉税が課されます。

ミャンマー

軍政下で閉ざされていた経済活動の門戸がようやく開かれたことで、「東南アジア最後のフロンティア」ともいわれるミャンマー。昨今は、製造業を中心に外資企業の進出が活発です。法人税率は、居住法人に対しても、外国企業の支店のような非居住法人に対しても25%。
課税所得の計算期間が4月1日から3月31日という同国では、国内のすべての法人は3月末で終了する会計年度を設定しなければなりません。しかし、多くが4月~翌3月を会計年度としている日本企業には、難しいことではないでしょう。

カンボジア

若年人口の多さから外資企業の注目を集めるカンボジア。同国の法人税の仕組みは、他国と異なり、「事業所得税」と称されます。事業所得税は「利潤税(プロフィット・タックス)」と「ミニマム税」に分かれています。毎年の所得に対する 20%、もしくは売上高の1%のいずれか高いほうを、事業所得税として扱います。このため、たとえ課税所得がマイナスになり利潤税額が発生しない場合であっても、ミニマム税を納める必要があります。また、政府指定分野の投資プロジェクト(QIP)に対する事業所得税の優遇措置もあります。

ベトナム

「チャイナプラスワン」の筆頭として、日系企業の進出が著しいベトナム。法人税の標準税率は、2014年1月1日より22%、2016年1月1日より20%と定められています。

参考:

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