ASEANで「最も注力すべき国・地域」、伸び率1位はベトナム=みずほ総研

2016年2月、みずほ総研は日本企業を対象にアジアビジネスアンケート調査を実施しました。「今後最も力を入れていく予定の国・地域(ASEANの内訳)」の結果を2014年度と2015年度とで比較したところ、ベトナムの伸びがもっとも高くなりました。今、ベトナムが注目される理由についてみていきましょう。

ベトナム人気の秘密はTPP

東南アジア諸国連合(ASEAN)から、マレーシアとともにTPPに署名しているベトナム。TPPに参加すれば、関税障壁や外資規制が取り払われるため、TPP参加国への輸出の拠点化や、国内市場の外資への開放が期待できます。

先述のみずほ総研の調査において、TPP参加12か国のなかで、今後投資・輸出・輸入を拡大する見通しである国を聞いたところ、ベトナムは投資拡大先と輸入拡大先として1位。輸出拡大先としても、米国に次ぐ2位となりました。

冒頭でご紹介した「今後最も力を入れていく予定の国・地域(ASEANの内訳)」の結果は、ベトナムが53.5%(複数回答)を占めて、タイの57.5%に次ぐ2位。また、近年政治リスクや賃金の高騰などを理由に生産拠点としての魅力が薄れているといわれる中国からの生産移転先候補についても聞いたところ、ベトナムは32%で1位でした。いわゆる「チャイナ・プラスワン」として、中国からの製造業の生産移転が進むASEAN加盟国のなかで、TPPによる市場開放を追い風に、ベトナムの人気が高まっていることがうかがえる結果となりました。

通年成長率は6.7%予想、ASEAN域内では堅調

ベトナム統計局が2016年6月末に発表した第2四半期の国内総生産(GDP)は、前年比5.55%増。四半期としては2年ぶりの低水準となったものの、ASEAN主要6か国ではフィリピンの7.0%増に次ぐ高成長を維持しています。

国内の政治スキャンダルや原油価格の低迷にあえぐマレーシアや、政治リスクの高まりから低成長が続くタイに比べて、ベトナムの経済は堅調だといえます。統計局は、2016年通年の成長率は6.7%になると予想しています。

TPPで9000万人市場の開放へ

サムスンの参入で電話が輸出品目の1位に

従来、ベトナムの主力輸出品は縫製品や履物、水産物などでした。2000年代に入り、サムスンをはじめとする外資系企業が参入したことで、近年、携帯電話やコンピュータ、関連部品などの輸出が大幅に増加しています。

サムスンは2009年にベトナムで携帯電話の生産を開始。輸出用の主力生産拠点として同国を位置づけており、2016年5月には、ベトナムの工場でスマートフォンを2億台生産する計画を明らかにしていました。また、同社は、ハノイ市に研究開発センターを設けており、ベトナムを安価な労働力が確保できる単なる製造拠点として見ているわけではない様子。将来的にはセンターの技術者数を現在の3倍を超える5000人にまで拡大、強化する方針です。

こうした動きを受けて「電話機・電話部品」の品目別輸出額は、2013年に繊維品をはじめとする伝統的な主力製品を抜いて1位となり、翌14年には236億ドルに達しています。

ベトナムはTPP最大の受益国に

ベトナムは、製造拠点としての魅力を備えているだけでなく、若年人口の多さと堅調な経済成長から、市場としても注目されています。ベトナムの全国1人当たりGDPは、2015年時点で2,170ドル。しかし、最大の商業都市ホーチミンではすでに5,000ドル、ハノイでは3,400ドル近くに達しています。

購買力の向上に伴い、日系小売りでは、イオンやミニストップ、ファミリーマートがすでに進出しており、今後成長が期待できるベトナム市場を取り込もうとしています。また、セブン&アイホールディングスも、2017~18年に「セブン-イレブン」の第一号店を出店すると発表しています。

TPPの発効によって、この魅力的な9000万人規模の市場が世界に広く開放されることへの期待感が強まっています。今年1月、世界銀行はベトナムのGDPは、TPPの発効を受けて2030年までに10%押し上げられるという予測を示しており、ベトナムはTPPによる最大の受益国となると見られています。

参考:

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