中国アリババ、東南アジア最大のECサイトLazadaに10億ドル出資

2016年4月上旬、中国最大の電子商取引(EC)事業者「阿里巴巴集団(アリババ)」は、シンガポールやタイをはじめとする東南アジア6か国で事業を展開している域内最大級のECサイト「Lazada(ラザダ)」に約1,082億円を出資し、経営権を取得しました。アジアEC界の巨人2社の提携で、域内の業界地図が塗り替えられる可能性も示唆されています。このアリババとはどのような企業で、今回の出資劇がどのようなものであったのか見ていきましょう。

海外70拠点190か国でサービス提供、アリババってどんな会社?

アリババは、中国浙江省杭州市(せっこうしょうこうしゅうし)に本拠を置く情報技術関連企業グループで、ECサイト「アリババ・ドットコム」や「タオバオ」を始め、BtoB(企業間取引)、BtoC(企業と消費者の取引)、CtoC(消費者間の取引)のオンライン取引プラットフォーム、決済サービス、クラウド・コンピューティング等のサービスを提供しています。2016年には、約13億8200万人の人口を抱える中国の巨大EC市場で、年間取引額3兆元(約51兆円)を超えたことからも、そのスケールの大きさがうかがえるでしょう。
このアリババを率いるのは、創業者のジャック・マー(馬雲)氏。1999年、マー氏は当時住んでいたアパートの一室で、友人たちとアリババを立ち上げ、一代で世界的企業にまで育て上げました。大学受験の際の数学が「1点」という劣等生ながら、不屈の精神で世界有数の大富豪に上り詰めたマー氏は個性的な人柄で知られます。社内の新年会に銀髪をモヒカン刈りにしたパンク・ロッカー姿やドレスをまとった白雪姫のコスプレで現れたこともあるそうです。
カリスマ経営者であるマー氏と「阿里人(アリババの同志)」と呼ばれる社員たちは、その結束力と勢いを活かして、中国国内だけでなくインド、日本、韓国、イギリス、アメリカなどに70を超える拠点を構え、24,000名以上の社員を有し、190か国にサービスを提供しています。
このアリババに早くから関心を持っていたのが、ソフトバンクの孫正義社長です。孫氏は「マー氏に会って5分で投資を決めた」と話し、株式の3割を保有する筆頭株主として、2014年にアリババがニューヨーク証券取引所に上場した際には約5000億円の持分変動利益を計上しました。

東南アジア6億人市場への足がかりに

一方のラザダは、シンガポールやタイをはじめとする、東南アジア6か国でEC事業を展開しています。14年度の売上高は1億5,430万米ドル。事業を展開している6か国の人口は合わせて約5億6000万人で、インターネットの利用者数は推定2億人という巨大市場です。ラザダには、ドイツのベンチャーキャピタル(VC)、ロケット・インターネットや英小売大手テスコ、シンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディングスなどが出資していました。
今回、アリババは、ラザダの株式の9.1%を1億3,700万米ドルでロケットから、8.6%を1億2,900万米ドルでテスコから取得。今後、アリババの出資比率は、ほぼ50%になる見通しです。
今回の株式取得で、東南アジアEC市場に対する本格参入ののろしを上げたと見てよいでしょう。

東南アジアEC市場は宝の山?

2015年末にAEC(東南アジア経済共同体)が発足し、単一市場化を目指す東南アジア諸国連合(ASEAN)。経済成長と人口の増加、モバイル機器普及率の伸長が顕著でありながら、小売全体に占めるオンラインショッピングの割合は約3%と、中国や先進国に後れをとっています。こうしたことから、同域内のEC市場は大きな可能性を秘めている、「宝の山」といえるでしょう。


参考:

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