発足から1年!AEC(ASEAN経済共同体)をおさらいしよう!

「AEC」は、ASEAN Economic Communityの略で、日本語では「アセアン経済共同体」と呼ばれています。

AECの目的を分かりやすく言うと、東南アジア諸国連合(ASEAN)の枠組みのなかで、ヒト・モノ・カネの動きを自由化させること。

2015年12月から発足したAECの影響や今後の見通しについて、確認しておきましょう。

そもそもASEANとは?

ASEANは1967年、ベトナム戦争を受けて、東南アジアの政治的安定、経済成長促進などを目的として設立されました。

設立当初にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイが加盟。その後1984年にブルネイ、1995年にベトナム、1997年にラオスとミャンマー、さらに1999年にカンボジアが加盟し、現在10か国が加盟しています。

ASEANは毎年、首脳会合を頂点に、閣僚会合(外相、経済大、財務、運輸、観光等)および高級事務レベル会合を開催し、政治・安全保障、経済、社会・文化のほか、対外諸国との関係まで幅広く議論し、東南アジアという単一市場として結びつきを強めています。

AECはASEAN各国にどう影響するか?

三菱UFJ投資信託の予測によると、AECによってASEAN中核5か国(ASEANの立ち上げメンバーとなったタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンを指す)のなかでも陸続きのタイ、マレーシア、シンガポールが特に恩恵を享受するとみられています。


AECとともに注目したいのが、ASEANと国境を接する中国の動きです。現在、中国はASEAN各国を巻き込んで、「一帯一路」(21世紀版陸と海のシルクロード)構想のもと、東南アジアでの巨大インフラプロジェクトによって存在感を高めています。

日本は東南アジアに新幹線を売り込もうと各国での受注合戦に参加していますが、中国は、シンガポールからマレーシア、タイを経由して中国昆明までをつなぐ高速鉄道の敷設を計画しています。このように、地理的、経済的に東南アジアをひとつの市場として統合しようとする動きがみられるなか、AECは各国のつながりを経済的に強める働きをすると考えられます。

AECによる関税への影響は?

AECの実現に向け、ASEAN域内では、物品、サービス、投資の分野で自由化に向けた取り組みが行われる見通しです。

物品については、1992年にASEAN自由貿易地域(AFTA)が創設され、すでに段階的な関税の引き下げが実施されています。さらに、2008年には、さらにこの協定を見直し、より包括的な枠組みとなるASEAN物品貿易協定(ATIGA)が締結されました。

ATIGAには、AFTAには盛り込まれていなかった貿易の円滑化や、税関、任意規格・強制規格および及び適合性評価措置などが盛り込まれています。
サービス分野では、1995年に「ASEANサービスに関する枠組み協定」が締結され、協定発効後、段階敵的に自由化を実施しています。進行フェーズとしては、2010年時点で「第8パッケージ」の自由化を行っている段階です。各国は2年に1回、自由化する目標項目数を決めており、その目標に合わせて段階的な規制の緩和・撤廃を実施しています。


さらに投資については、1998年に「ASEAN投資に関する枠組み協定」(AIA)を締結し、投資の自由化、投資促進等含む協力を推進してきました。一方で、投資の保護については、1987年にASEAN投資促進保護協定(IGA)が締結されています。

2009年には、これら2つの協定を一本化し、AIA、IGAの見直しおよび自由化、保護、円滑化、促進等を含む包括的な協定となる「ASEAN包括的投資協定」(ACIA)が成立しました。

まとめ

このように、ASEANは1992年のAFTA創設以降、主要加盟国間での関税の撤廃など経済的な結びつきを強めていることから、AECの実効的な役割を疑問視する声もあります。また、欧州連合(EU)に比べて、主要5か国と後発加盟国間での経済格差が大きいことから、ユーロのような単一通貨の導入といった包括的経済協力に至るのはまだ先だとみられています。ただ、AECの発足で、域内の「ヒト・モノ・カネ」の流動性が高まり、ASEAN内の結びつきが意識されるようになるのは、間違いないと考えられます。


参考:

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