オムニチャネルを活性化させるシニア世代のネット活用

  • 実店舗を持つ方は、近年、O2O、オムニチャネルといった言葉をよく耳にするのではないだろうか? 最近はシニア世代でも当然のようにネットを使うようになっている。そのため、これまではネットとは無縁だと考えられていたシニアをターゲットにした企業であっても、ネット集客は欠かせない戦略のひとつとなっている。しかしO2Oやオムニチャネルといった手法は、その言葉の意味をしっかりと理解していないとうまく活用していくことはできない。そこで今回はO2Oとオムニチャネルの基本を知り、特にシニアをターゲットとした企業において、それぞれを実店舗やネットショップの売り上げアップにつなげる方法をご紹介しよう。

    似ているようで違う、O2Oとオムニチャネルの違いとは?


    ネットショップを持っている企業はもちろん、実店舗のみの企業であっても、いまや集客においてネットは欠かせないツールとなっている。そこでネットを活用した実店舗への集客のためにO2O、もしくはオムニチャネルといった手法が大きくクローズアップされるようになった。このO2Oとオムニチャネル、どちらもネットと実店舗をつなぐための手法という点では変わらない。しかし実際にはまったく別物といっても過言ではない。ではこの2つの手法はどこが似ていてどこが違うのだろう?


    O2Oとはネットから実店舗への集客


    O2Oとは「Online to Offline」の略である。つまりネットから実店舗へということであり、ネットで情報を発信し、それを見た人の購買行動を喚起させ実店舗へと誘導する手法だ。具体的な例としては、オンライン上で発行される割引クーポンが挙げられる。自社サイトやオンラインクーポンを配布しているサイトで、店舗の存在をアピールして来店してもらう。ほかにも店舗を訪れた人に対し、FacebookなどのSNSでチェックインをしたら割引クーポンを提供するというのもO2Oのひとつである。
    O2Oの最大のメリットは、お客様が実際にクーポンなどを持って来店することで施策の効果測定がしやすくなることである。クーポンの配布枚数、配布期間に対してどれだけの人が実際にクーポンを持ってきたかが数字として表れるため、どのクーポンは効果があり、どのクーポンは反応が悪かったかが明確にわかる。これにより常に今の施策をブラッシュアップし、集客効果を高めていける。


    オムニチャネルはお客様に購買チャネルを意識させずに購買を促す手法


    ネットから実店舗へ誘導することを目的とするO2Oに対し、オムニチャネルはお客様がどこから流入するかは関係なく、最終的にネットショップと実店舗の好きなほうで購入してもらうための手法である。ネットでクーポンを入手し実店舗で購入しようが、実店舗で商品を確認し、そのあとネットショップで購入しようが最終的には自社の利益になることには変わらないというのがオムニチャネルの基本的な考え方である。
    お客様にどこからでも自由で便利に購買ができる手段を提供することで、利便性を感じてもらえることがオムニチャネルの最大のメリットとなる。そして同時にネットと実店舗の垣根を外し、販売網を統合することで商品管理がしやすくなるのもメリットのひとつだ。
    こうしてみるとO2Oとオムニチャネルは似ているようで実は大きく違う販売手法であることがわかる。ただアメリカなどではOnline to OfflineもOffline to Onlineも明確に区別されていないため、日本でもオムニチャネルと混同してしまうケースが多いのではないかと考えられる。

     

    O2O、オムニチャネルを活用したネット戦略

     

    次にO2Oやオムニチャネルを実際に活用した事例をご紹介しよう。


    年齢や属性にターゲットを絞り来店を促す情報を発信


    SEIYUでは、Googleのディスプレイ広告における「年齢・性別ターゲティング」を活用。商圏をしぼったうえで過去のデータから買い物客が増える時間帯に合わせ、20代男性にはレトルト食品を、子供がいる30代の既婚者にはお弁当のおかずになるような食材をといった形で広告を発信。商圏内リーチは41%を達成し、広告費のコストダウンと来店者数増、売上増を実現している。


    組合員の購買履歴を元にしたクーポンを店頭で提供


    O2Oの事例をもうひとつ紹介しよう。2014年10月、生活協同組合コープこうべはNTT西日本と共同でキオスク端末を利用したクーポン提供の実証実験を行った。端末にスマホもしくはフィーチャーフォンをかざすだけで、組合員であればそれぞれの過去の購入履歴に合わせた商品のクーポンを発行する。一般的にITリテラシーが低いと言われるシニア世代であっても簡単にクーポンを発行できることから、今後もこういった施策は増えていくと思われる。

    実店舗とネットショップを連携させることでお客様の利便性を実現


    次にオムニチャネルの成功事例を紹介しよう。メガネスーパーでは、実店舗とネットショップの顧客データを統合することにより、実店舗でもネットショップ上の顧客データや購入履歴を閲覧できるようにした。これによりお客様に対してスムーズな接客を実現。またネットショップで実店舗用のクーポンの発行、実店舗で無料のメンテナンス行うなど接点を増やしメルマガ会員登録を促した。そしてそこからネットショップへ誘導するなど、あらゆる面で自社への囲い込みを行うことでお客様の利便性を高めている。2015年5―10月期(中間期)のEC売上高は前年同期比48.6%増となっている。

    単純にオンラインクーポンを提供するだけといった施策ももちろん一定の効果は望める。しかし前述の例からもわかるように、お客様により強い購買意欲を喚起させるには、年齢別にアプローチする、会員データを利用するなど、ビックデータの活用がポイントとなる。個々のニーズに合わせた情報の提供をすることで、より成果を挙げる確率が高められるだろう。

     

    O2O、オムニチャネルと相性のよいシニア世代

     

    O2Oやオムニチャネルは若い世代にとってはもちろん有効な戦略であるが、実はシニア世代にとっても非常に有効な戦略だといえる。その理由は2つある。


    シニア世代にも広がるスマホの活用

     

    ひとつはシニア世代にも普及し始めているスマホの存在だ。O2Oの事例でも紹介したようにスマホを活用したクーポンの発行は、シニア世代であっても簡単に利用できることから、あらゆる世代に対してO2Oやオムニチャネルで成果を挙げるためには必須のツールだといえる。
    MMD研究所が2016年6月に行った調査では、60~79歳のスマホ所有率は38.5%。この数字は年々と増えていることからも、シニア世代においてもスマホを利用して割引チケットを探したり、クーポンを入手したりすることはもはや珍しいことではなくなっている。


    実店舗でもネットショップの利便性を享受できる


    そしてもうひとつの理由は、実店舗で商品を購入した場合でも、ネットショップで購入したのと同じ感覚で商品を自宅に送れることである。シニアになると日常的な買い物でさえも持ち運びが困難ということで、買い物をためらいがちになるケースもある。しかし実店舗とネットショップが統合されることで、実店舗で購入してもスムーズな発送が可能になる。これもまたお客様にどこで購入したかを意識させないオムニチャネルのメリットである。


    アメリカ、イギリスなどに比べるとまだまだ普及が進んでいないO2O、オムニチャネル。しかし超高齢化社会を控え、日本においてもこれらの戦略は、企業が生き残っていくうえで非常に重要なポイントのひとつとなる。それぞれの企業の状況やターゲットなどに合わせ、一方もしくは両方をうまく活用することでシニア世代の購買を促し売り上げをアップしていくことが成功のカギを握っている。
    シニア世代をターゲットにO2O、オムニチャネルを推進していくには、まずスマホやフィーチャーフォンで簡単にクーポンが入手できる、実店舗で購入してもスムーズに自宅へ配送してくれる、さらにそこに在庫がなくとも他店舗からすぐに同じ商品を届けてくれるといった、利便性を伝えていくことが必要である。若い世代にとってはもはや当たり前になりつつあるオムニチャネル。しかしシニア世代にとっても、十分有効な戦略となるだろう。

     

    参考:

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